果てしなく青い、この空の下で…。 (TOPC0001)


●基本データ●

発売日:2000年6月30日 マニュアル:

中綴じ、16P(表紙カラー)
操作説明+キャラ紹介
(*1)
ブランド:TOPCAT
[WEB]
BGM:CD-DA and WAV
音声:なし
画面:Window or FullScreen


●傾向と評価●

シリアス  90



















10ギャグ

陵辱系65

35ラブラブ系

万人向け70

30人を選ぶ

バグ指数10

安全

マニュアル50


客観的評価85


個人的趣味95



●どんな人にオススメ?●




 TOPCATブランドとしての5作目です。

 TOPCATは、メッセンジャーフロムダークナイト(販売:TAKERU)で、95年にデビューしたブランドで、
このソフト以前に、5作をリリースしています(うち1作は、他ブランドでの発売(*2))
良く言えば硬派、悪く言えばマニアック(悪いのか?(笑))な作りこみが特徴です。
詳しいブランド史については、オフィシャルページにありますので、そちらを参照してください(*4)。
結構、壮絶ですけどね(汗)。

 んでは、内容です。

 舞台は1970年代頃と思われる、山合の小さな村。
ヤマノカミという伝承が残るこの村で、6人の少年少女のある夏の人間模様を描く、
素朴なほのぼのとしたストーリーのゲームです。
……嘘です。幻です(ぉぃ)。パッケージや事前の情報でもそういう雰囲気があったのですが、
実際には、全然違って完全な伝奇物です。しかも、クトゥルー神話(*3)の影響も受けていると思われる…。

 まずシステムですが、特徴的な画面割をしています。
通常シーンでは、画面の横半分がメッセージエリア、もう半分がキャラの立ち絵になります。
また、メッセージの表示も横書きと縦書きが選択可能で、テキスト表示も1行ごとか、ページごとかも選択可能です。
イベントシーンでは、画面下部がテキストエリアというスタンダードな形式になります(この場合は横書きのみ)。
個人的には、読みやすくて結構気に入ってます。
そして、特徴的なのが、文章スキップです。このゲームのスキップは、メッセージの早送りではなく、
いきなり、次の選択肢(もしくは、未読の文章。ただし、未読でも飛ばされることがあるそうな(汗))に、
ジャンプします。非常に便利で、最後の方では結構活用してました。

 原画はたかみち氏。独特な印象を持ってる絵描きさんですな。
いくつかのレビューサイトで、落書き風の絵があって、手抜きだという書かれ方もしているようですが、
落書き風と言われてる絵も、わたしは味があって好きなんですけどね。まぁ、趣味の違いですか(苦笑)。

 ゲーム自体は、時々選択肢が表示される、オーソドックスなタイプです。
始業式、春、夏、秋、冬の5章からなり、夏までの3章で誰のシナリオに分岐するかが決定し、
秋でハッピーエンドかバッドエンドに分岐します。冬は選択肢は一切なく、分岐したシナリオが語られます。
ハッピーエンドを見る難易度はそれなりに高いです。
堪え性がない人は、攻略ページ見ながらプレイした方が無難かも知れません(汗)。

 さぁて、シナリオです。リゾート開発に絡む騒動と、ヤマノカミの伝承が軸になっています。
ネタバレになるとアレなので、多くは語りませんが、娘達は、皆何かしらの問題を抱えています。
それはリゾート開発に絡む地上げだったり、ヤマノカミに関することだったり…。
各娘のシナリオは、ある意味それぞれの側面からの視点なので、
クリアしていくごとに、様々な物事が見えてくるようになります。
同じ出来事を別視点で見るのではなく、主人公の行動によって、事件の細部が変わっていきます。
この手のゲームだと、シナリオによってまったく真相が変わってしまったりするものもありますが、
「果てしなく青い、この空の下で…。」の場合、同じ設定の中で、キャラクターの動きに合わせて事件が変化するので、
全体を見たときに、あまり矛盾が発生していません(もちろん、まったくないとは言いませんが)。
その結果、全体的に統一した雰囲気が保つことができているように思います。
ちなみに、シナリオによっては、かなり背筋が寒くなるものがあるので、深夜のプレイは最高です(マテ)。
バッドエンドは痛いしね…。

 シナリオと関連する部分でもありますが、ゲーム中はかなりの部分が無音です。
評価が分かれるところだとは思いますが、わたしは高く評価しています。
普段無音であるために文章に没頭でき、効果音が効果的になり、音楽も映えます。
だって、ずっと音楽が鳴りつづけているホラー映画なんてないでしょ?(笑)
伝奇物はやはり音の使い方が肝ですからな。
…誤解のないように言っておきますが、曲数自体は結構多いです。
各シーンに専用の曲があるという感じになってるんですね、どうも。

 余談ですが、全員のハッピーエンドを迎えると、おまけシナリオが登場します。
主人公すごすぎです(苦笑)。若さって偉大だなぁ…(謎)。
おまけシナリオは3本なんですが、一度もバッドエンドを見ることなく、
全員のハッピーエンドを見ると(エキスパートクリアというらしい)、
しおりが赤くなり4本目のおまけが登場します。また、専用サイトのURLも表示されるんですが、
現在では、一般公開されています(*5)。

 残念な点としては、オープニングの画質が悪すぎです(苦笑)。
元から画質が良くないものを拡大してしまっているので、かなり凄い状況になってます。
あのオープニングでソフト終了させた人もいるんじゃないだろうか(苦笑)。

 あとはやはり、一部の矛盾点ですか。ルートによっては、結構すごいことになることもあるようですが。
より完璧なものを求めてしまうのは業の深さですかね(笑)。
でも、ここまでのを見せられたら、言葉も出ないくらい完璧なものを求めたくなるのですよ。

 総評です。今年の五指に入る傑作だと思います。手間隙かけて作ったんだろうなぁというのが、
端々から感じられます。オカルト的なものが嫌いでないならば、絶対におすすめの1本です。
まだ、プレイしてない人は、プレイしとけ(笑)。

P.S. 雨音もいいが、文乃も捨てがたい…。



*1 初期ロットに関しては、記載されている形のマニュアルなんですが、最近のロットでは、
  簡易マニュアル+オンラインヘルプという形になっているようです。
  パッケージでは判別が付きませんが、現状、新品で店頭にあるものは多分、簡易マニュアル版です。

*2 PEACH(PEAC)ブランドから、1998年3月12日に発売された雪色のカルテがそうです。

*3 ハワード・フィリップ・ラヴクラフトが書き始めた創作神話で、現代ホラー小説の代表作。
  「CTHULHU」というのが原題ですが、これは実際には発音できない単語で、邦訳版では、
  「クトゥルー」「クトゥルフ」「ク・リトル・リトル」などと表記されています。

*4 ホームページの一新でこのページなくなってしまったみたいです、残念。

*5 2001年6月30日をもって、このページの公開は終了しました。

(2000年12月11日) (2001年2月12日改) (2001年7月4日改) (2003年11月24日評価基準見直し)


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