Ricotte〜アルペンブルの歌姫〜 (RUNE0303)


★データ★

● 基本データ
発売日:2003年9月26日 パッケージ内容:

ゲームCD(2枚)、サントラマキシCD、
マニュアル(1色8ページ)、
絵葉書セット(6枚組、封筒入り)、
ユーザーはがき
(以上、限定版)
ブランド:RUNE
[WEB]
音声:主人公以外フルボイス
アニメ:なし
HDD:950MB
原画:野々原幹

● 傾向と評価
シリアス  75



















25  コメディ

陵辱系10

90ラブラブ系

万人向け70

30人を選ぶ

バグ指数20

環境次第

ボリューム60

やや多い

客観的評価70


個人的趣味70


● 筆者が購入した理由
  • 野々原幹原画のデフォルト買い


★レビュー本文★

§1 はじめに
 メリークリスマース!

 …すいません、ばたばたしている間に年越しました(汗)。
クリスマスまでにアップするつもりだったんですが、正月になってしまいました…。
なんか、音楽物が2本続いてますが、とにかく月1本くらいは消化したいですねぇ…。

 ここのレビューでRUNE作品を扱うのは3回目なので、もういいかなという気もしますが、
これしか見ない人が結構いるでしょうから、一応ちゃんとやります(汗)。

 RUNEは1999年10月のfifthでデビューしたブランドです。
元々は野々原氏原画のラインで、ここ数年多ライン化してたんですが、今年は野々原ラインのスタッフで、
赤丸氏原画の作品をリリースしたり、色々試行錯誤してる感じがしますな。
その甲斐(?)もあって、スーパーロリブランドのイメージはちょっと薄くなってきたような気がします。
それでも、基本的に少し癖があるということは変わりませんが(苦笑)。
§2 概要
 かつて造船で栄えた町、クワルク。
今では人も少なくなり、稼動している工場も数えるほどになってしまっている。

 そんな寂れた町の一角にあるパブでピアニストとして働く主人公は、
ひょんな事から“リコッテ”と名乗る少女と一緒に暮らすことになる。

 無邪気でわがまま、そのうえ世間知らずのリコッテに散々悩まされる主人公だったが、
リコッテがとんでもなく歌が上手いことに気がつく。
 パブをステージにして二人の演奏は好評を得ていく。
 そして、リコッテの告白――。

「歌姫って知ってる? 私はね、そう呼ばれてたの」

以上、オフィシャルより(改行、句読点等、一部改変)。
§3 システム
 ゲームシステムは非常にオーソドックスなコマンド選択式のAVGです。
プロローグの3つの選択肢で、シナリオ自体が2つに分岐するのは特徴的ですが、
その最初の分岐後は、ときどき2択(稀に3択、でも3択はほとんどギャグ選択肢)が表示され、
その結果で、好感度が増減したり、若干分岐したりします。
とはいえ、基本的はに一本道のシナリオとなります(若干のバッドエンド等はありますが)。

 搭載されている機能は、スキップは未読・既読選択、バックログあり(音声再生あり)、
クイックセーブ・ロード、オートモードと、普通にプレイする分には十分な機能です。
個人的には画面右下にマウスカーソルを持っていくと、リストが出てくるっていう方式は、
あまり好きではないんですが、これは好みの問題ですからな。
そもそも、なぜこれが気になるかといえば、わたしはゲーム画面を画面左上に配置して、
他の作業を画面右に配置して並行作業をやるので、マウスカーソルをアプリ間で移動させるたびに、
メニューが出るのが、ちょっと鬱陶しいと感じているだけでして。
要するに、こんな特殊な使い方する人間の意見は、聞き流していいよということです(苦笑)。

 それなりにパッチが公開されていますが(プレイVer.は1.00〜1.02a。最新は1.03)、
ゲーム中、特にバグに悩まされたということはありませんでした。
バグ指数を高めに見積もってるのは、起動ランチャーに不具合を抱えているせいでして、
環境によっては、ランチャーからインストーラーが動いてくれません(うちは動きませんでした)。
インストーラーの不備は、エンドユーザーにとって、かなり高い障壁になってしまうので、
現在のような高めのバグ指数としています。
§4 シナリオ
 システムの項でも記載しましたが、プロローグの3つの選択肢で、大きく2つのシナリオに分岐します。
この分岐は、個人的にはかなり面白いと思いました。もちろん、3選択肢で分岐すること自体は、
何も面白くないですが、プロローグの幼少の主人公と父親との会話で、
主人公が何を思ってピアノを弾いていくかというので、主人公の人生が分岐するのが面白い。
要は能動的か、受動的かっていう分岐なんですけど、それぞれ別の性格に育った主人公のところに、
リコッテというファクターが放り込まれたときに、どういう話になるかっていうifがいい。
この話は、もちろんえろげーとして見たときには、リコッテの話なんだけど、
シナリオの構造から考えると、やはり、主人公バノンの一代記という側面が強いと思います。

 基本的に一本道なので、エンディングはヒロイン・リコッテにしかありません。
しかし、やってみればわかると思いますが、このシナリオで別のキャラのエンディングは、
ちょっと考えられないですね。間違いなく、リコッテが不幸になりますので(苦笑)。

 今まで、野々原原画の場合は、基本的に猫舌あち氏がシナリオを担当してたわけですが、
今回、スケジュールの都合でしょうか(これの前月発売の今宵も召しませアリステイルをやっている)、
千籐まさと氏が担当されていて、猫舌氏はシナリオ監修という形で入っているようです。
で、実際中身はどうかというと、全体的な雰囲気は今までの作品を踏襲している感じですかね。
基本的に悪人はいませんし。ロックフォール社の人たちはゲーム的には悪役っぽいんだけど、
立場とか情勢とか考えると、考え方がすごい理解できてなぁ(苦笑)。わたしには全然悪役には見えません。
まぁ、そういうこともあり、また、立身出世の話でもあり、ある意味ハウス名作劇場的な雰囲気がありますな。
もっと年代が上の人だとカルピス名作劇場でもいいですが(笑)。

 これだけじゃなんなんで、少し、それぞれのシナリオについて触れておこうかな。
プロローグで2つのシナリオに分岐するわけですが、それぞれLargo、Allegroと名付けられています。
音楽にまったく興味がない人だと、意味がわからないかな。これはどちらも曲の速度を表す標語で、
Largoはかなりゆっくりした速度を表し、Allegroは結構速い速度を表します。
で、シナリオの展開もまさにこの標語が示すとおりのスピードで進みます。

 Largo編は自分に自信がなく、流されやすい主人公の物語。四文字熟語で言うと「他力本願」。
ピアノの腕はそれなりで、パブでは誰も聞かないピアノを黙々と弾いている。
みんなに支えられながら、ときどき階段を転げ落ちつつ、また登るという感じで、
リコッテともゆっくりと愛を育んでいきます。そういう意味で、かなり日常が長く、
中盤まであまり話が動かないので、ちょっと冗長に感じるかも知れません。

 Allegro編は自信家で、ちょっと強引な主人公の物語。四文字熟語で言うと「唯我独尊」。
ピアノの腕でもある程度認められており、客はそのピアノを楽しみにパブにやってくる。
みんなの助けは借りるものの、どちからというと自分で未来を切り開いていく。
ちなみに、リコッテにもいきなり手を出しますので、そういう意味でもやたら展開が早いです(苦笑)。
こちらのシナリオは、展開も早く、次から次へと色んなことが起こります。

 ただ、どちらのシナリオも、主人公以外の性格や立場は同じで、非常にキャラが立っているので、
会話などもぽんぽんとテンポよく進んでいきます。こういう人たちの会話見てたら面白いだろうなぁと、
素で思います。あんまりお近づきにはなりたくないっていう人も結構いますけど(苦笑)。

 いずれにしても、リコッテとバノンが中心の話なので、このふたりに感情移入するか、
親にでもなったつもりで、客観的に見守るかしないと、楽しめないでしょうな。
しかし、その点さえ問題なければ、筆力にも特に問題はありませんし、
素直にシナリオが楽しめると思います(もちろん、好き嫌いはあると思いますが)。
各キャラそれぞれ役割があって、無駄なキャラがいないというのも、評価できる点です。

 そうそう、余談ですが、このライター(または企画者かも知れませんが)、かなりのチーズ好きです。
いきなりリコッテがチーズフォンデュ作ろうとして失敗したりとか、クロックムッシュー食ってたり、
チーズ絡みの食べ物が結構出てきますが、よくよく、色んなものの名前を見てみると…。
まぁ、ゴーダとか、ロックフォールあたりは有名ですが、こんなものまでっていうくらい、
チーズの名前だらけです。一例をあげると、エメンタール、ボンレベック、クワルク、この辺チーズの名前です。
なんか、色んな言語系統の固有名詞が氾濫してると思ったら、こういう共通点があったのね(苦笑)。
§5 Hシーン
 Hシーンがあるキャラは、マダムとトゥーシー以外の女性キャラ(笑)。大部分はリコッテですが。
RUNEといえば汁ですが、相変わらず量は多いですね(笑)。まぁ、これでなくっちゃな。
Hシーンの内容は、スーパーロリ(ぉ)のリコッテから、ないすばでぃのお姉さままで、
色々なので、ストライクゾーンが広い人でなければ、いらないと思うシーンがあるんじゃないかと(苦笑)。
あ、わたしはストライクゾーンめちゃ広なので、全然大丈夫ですけどね、全部(ぉ)。
とはいえ、大部分はリコッテがお相手ですから、リコッテのHシーンがいらないと思った人は、
このゲームには手を出すべきじゃないです(苦笑)。

 個々のシーンでいうと、まぁ尺はそれなりの長さがありますし、シーン数も結構多いですし、
それなりに使いではあるかなと。着衣とか脱ぎ掛けとかそんなんばっかりですし(笑)。
§6 原画・CG
 原画は野々原幹氏。RUNEのメイン原画でスーパーロリータ最終兵器(ぉ)。
まぁ、初恋のときにも書いたように、最早あまり説明のいらない原画さんなんじゃないでしょうかね。
とかくロリ系のキャラを描く人なので、かなりユーザーを選んでいましたが、
最近の作品では、そうでなもないキャラもそれなりに描かれているので、
徐々に一般化してきている感じでしょうか(苦笑)。今回もそういう系統はリコッテだけですし。
まぁ、好き嫌いははっきり別れるとは思いますが(激汗)。

 立ち絵は、結構パターンが多いですね。実はイベントCG自体はそれほど多くないんですが、
立ち絵が表情豊かなせいで、それほどそういう印象は受けませんね。
個人的にはリコッテのへへんっていう自慢気な顔の立ち絵が密に好きだったりします(笑)。
あぁ、あとフォンティナのほっぺたがすごくやわらかそうで、なんか気になってます(ぉ)。

 背景は、最近お馴染みのKUSANAGI。まぁ、ここはこういうものの職人ですから、
近代ヨーロッパっぽい背景をきっちり描いておりますな。変な部分等は一切ありません。
§7 音楽・ボイス
 音声に関しては、RUNEのキャスティングはもう完全に安心してお任せって感じです。
男性陣に関しては、「あぁ、ひとりで何役も頑張ってるな」なんて思ってしまうこともありますが、
イメージを外してる人もいませんし、演技に問題がある人もいませんね。
個人的には、リコッテが小桃先輩声(大波こなみ)というだけで、おなかいっぱいです(ぉぃ)。
マダムの声とか、すっごい味があっていいですね。ため息のつき方とか(笑)。

 音楽に関しては、またあちこちに生音がちりばめられておりますな(苦笑)。
主人公がピアニストなので、ピアノ系の曲が多いのが特徴ですね。録音レベルも悪くないですし、
曲も総じてレベルが高いです。また、歌が主題ですから、歌入りの曲が4曲あります。
ちなみに、歌っているのはリコッテ役の大波こなみさんではなく、佐藤裕美さんですな。
元々それほど高くない声の佐藤裕美嬢がリコッテの音域の声を出しているので、結構苦しそう(苦笑)。
いや、正直ちょっと無理があるんじゃないかと思うんですが…。それほど違和感ないのがすごいですが。
あと、まぁちょっと曲調とか歌詞が、歌姫が歌う曲ではないよなぁとは思いましたけど(苦笑)。
舞台設定から考えると、歌姫が歌う曲はアリアとかじゃないとおかしいので、
ちょっと、うーんとは思ってしまいましたが(苦笑)。まぁ、リコッテには合ってます、とっても。
§8 総評
 では、総評です。
個人的には佳作以上、秀作未満といった評価です。ある意味、無難な出来ではあるんですけど、
突き抜けた感じはそれほどないですね。まぁ、わたしはリコッテがめちゃくちゃ気に入った、
というわけではないので、リコッテのキャラがツボに入った人は、だいぶ評価が違うだろうと思います。
多分、今回のこのレビューは、数あるレビューサイトの中でもかなり異質な見方をしてると思ってます。
シナリオなんかの構造解釈の部分なんかのことですが。
ただ、単純に「リコッテ萌え〜」っていう見方をするのは、
ある意味で失礼だと感じたので、シナリオの構造というところに主眼を置いて、書いてみました。
各種情報で、リコッテが気に入った人であれば、間違いなくお奨めですし、
過去のRUNE作品(野々原ラインのものね)が気に入っている人は、外したと思うことは多分ないでしょう。
このゲームをお奨めしない人は、凌辱スキーな人と、ロリキャラが絶対駄目な人(笑)。
お赤飯イベントは、さすがにやべーだろう…(苦笑)。

 今回はふと思ったことがあるので、以下ネタバレな裏設定考察。

 Allegro編で、マダムが急にアルペンブル行きの話をまとめてきますが、
あれって、レスター(探偵)の動きを知って、リコッテの正体を見抜いていたってことなんですよね、多分。
バノン達が旅立った後、リコッテの写真をレスターから見せられても、眉ひとつ動かさなかったというのは、
多分、それを示唆しているんだと思っておりますが。
復帰コンサートにきたマダムも、(事前に知らされていただろうけど)特に驚いたというような、
記述は一切ありませんでしたし。

 あと、クワルクに住んでいるトゥーシーの叔父っていうのは、エポワスなんでしょうね。
多分、あのオルゴールの逸話に思いっきりトゥーシーの親とかが絡んでるのでしょう…。
だから、きっと猫のラミの名付け親はエポワスで、きっとマダムから取った名前なんだと思います。
まぁ、すべて勝手な想像ですが、このライターさんなら、その辺設定してないわけはないし、
状況から判断すると、そういうことなんだと思うんですが。


P.S. 端から見てる分には、クーロミエ…かな(苦笑)。各キャラみんな気に入ってますけど(笑)。

良かった点 悪かった点
立ち絵の表情が豊か
シナリオのレベルは高い
音楽の雰囲気が良い
リコッテを気に入らないと始まらない



(2004年1月2日)

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